Endless Summer
- Tomoya Abe
- 7月16日
- 読了時間: 1分

午前九時の通知をぜんぶ置き去りにして、僕らは海のほうへ向かった。
屋根を開けたオープンカー、風にほどける前髪と、シャッフル再生のサマーチューン。
会話が途切れても気まずくならない速度で、青い標識を追い越していく。
コンビニで買った溶けかけのアイスコーヒー。
助手席の君が撮った空は、少し白飛びしていたけれど、たぶん今日にはそのくらいが似合っていた。
海岸線に着くころ、僕らの影は短くなって、サンダルの隙間に細かな砂が入り込む。
「夏って、すぐ終わるよね」
君が笑うから、終わらせたくないとは言わずに波打ち際まで走った。
永遠なんて信じていない僕たちが、十五秒の動画だけは何度も撮り直している。
夕方、濡れたシャツのまままた車を走らせる。
街へ戻るバックミラーに小さくなっていく水平線。
それでも車内にはまだ潮の匂いと、君の笑い声と、再生途中の音楽が残っていた。
夏はきっと季節の名前じゃない。
帰りたくないと思った瞬間にだけ僕らの中で始まる、終わらない何かだ。
Endless Summer.
日が沈んでも、この風だけは次の青まで連れていこう。



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