Fake Love
- Tomoya Abe
- 7月17日
- 読了時間: 2分

やさしくされると なぜか、 不安になる 返信が早い 声を荒げない 約束を守る そんな人ほど 私のことなんて どうでもいいように見えた だって愛は もっと息苦しくて もっと疑わしくて 逃げようとした腕を 強く掴むものだったから 「お前のためだ」 その言葉があれば 痛みは全部 愛に翻訳できた 頬に残った赤も 壁際で震えた夜も スマホを奪われたことも 誰にも渡したくないほど 私を必要としている証拠だと 思うことができた 友達は言った それは愛じゃない 早く離れたほうがいい でも 何も壊さず 何も奪わず 何も禁止しない人を どうやって 愛していると信じればいいの 静かな部屋では 自分の空洞が よく響く 怒鳴り声も 泣き声も ドアを叩く 音もない夜は 世界から 忘れられたみたいだった だから私はまた 危険な匂いのする人を選ぶ 傷つけたあとだけ 異様にやさしくなる人 「もうしない」と言いながら 私の髪を撫でる人 その温度差に 心臓を揺らされて 私はそれを 運命と呼んだ たぶん私は 暴力が好きなんじゃない 暴力のあとにしか現れない あの偽物の優しさを 誰よりも本物だと 信じたかっただけ 今日も鏡の前で 青くなった肌を隠す ファンデーションを重ねるたび 本当の顔が きれいに消えていく そして彼から届いた 短いメッセージを見て 私は少しだけ 安心する ごめん 愛してる たった二行で 傷口はまた ハートの形に 縫い直される。



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